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徒然草むしり
嘘を! もっと嘘を!


2007年8月10日(金曜日)、Inland Empire!
恵比寿で、デイヴィッド・リンチ『インランド・エンパイア』を観てきました。おーうちさん、どーも。

実は僕はデヴィッド・リンチの映画をきちんと観たことがないのではないか、ということに気がついた今日子の頃、皆さんいかがお過ごしでしょうか。今日は『エイリアン vs. プレデター』か『キングコング』以来で女の子と映画を観にいってきたりびけんです。

いや、『砂の惑星』は観たけどね、あれはリンチ観たうちに入らんだろう。『イレイザーヘッド』と『エレファント・マン』はずいぶん昔にビデオで観たとは思うのだが、なんせ昔のことだし酔っぱらってたしなにしろリンチだし、あんまり覚えていなかったりする。『ブルーベルベット』以降はまず間違いなく観ていないから、つまり僕のリンチに関する知識はネットとか評論とかで構成されたものなんですね。

そういやフィラデルフィアのレディング市立博物館に遊びにいったら、田舎の博物館なのになんでかDark Passages -Art of David Lynch-というのが巡回に来ていたことがあって、あれは嬉しかったなあ。いやあ、壁から人の顔が突き出ていて血が垂れているとかそんなんばっかしでしたけど。一緒に行った現地の知人はドン退きしてましたね(笑)。

あとは、ネットにあるリンチ先生の「今日のロサンゼルスの天気」なんてのは毎日チェックしていたりするのだが。いや、窓際でリンチが外を見上げて、気温とお天気を報告してくれるだけ。今日はついでに「あと5日でInland EmpireのDVDが出ます」なんて言っていましたな。


というわけで、恵比寿ガーデンプレイスで『Inland Empire』だ。物好きなお姉さんと恵比寿の駅前で待ち合わせて、とりあえずガーデンプレイスでビール。そのうち開場、あっさり入場。

映画についての予備知識は、タイトルと監督と、あとは上映時間が3時間あること。以上終わり。
上映時間3時間? さいきんとみに集中力を欠く俺なのだが、大丈夫だろうか。180分規模の映画というと、劇場で観たことがあるのは『アラビアのロレンス』、『赤ひげ』、『七人の侍』、『天国の門』、『レッズ』、『ゴッドファーザー』、『アマデウス』、『ドクトル・ジバゴ』、『ベン・ハー』、あれ? 意外と好きな映画ばっかりだぞ。よし今日も頑張ろう。
そういやアンディ・ウォーホルで『エンパイア』なんてのがあったな。上映時間8時間。知らんて(笑)。

というわけで上映開始。メリル・ストリープっていい齢なのにアップに堪えるなあなんて思っていたら、よく考えたらこれはローラ・ダーンだ。いかんいかん。あと判るのはクローネンバーグでお馴染みのジェレミー・アイアンズと、僕の好きなジャンルの映画によく出ているハリー・ディーン・スタントンくらい。まあそんなことはいい。スクリーンでなにが起きているのかまったく判らないまま、退屈もせずに眠りもせずに180分間を乗り切ったのだからヨシとしよう(ひどい観客もあったもんです)。

さきに周辺情報を書いておくと、エンディングのクレジットにはデイヴィッド・リンチの作曲演奏になる劇中歌があるようなことが書いてありました。どれだったんだろう。終演後にロビーでポスターを眺めていたら、出演クレジットにナオミ・ワッツがちゃんといた。声だけの筈なんだけど。あと、ナスターシャ・キンスキーってどこに出てたの? マルチェロ・マストロヤンニにオシッコ飲ませていたナタキンを僕が見逃す筈はないのだが(ってそこかい)。

話のほうは、僕の頭がヘタクソなせいもあるのだろうけれども、しかしまともに追いかけるようなものでもないんだろうなあ。ひらたく、僕のなかでの「難解さ」では『ビデオドローム』か『今宵限り(Heute Nacht oder Nie)』を超えたという言い方もできるのだけれども、そういう考え方はせずに「悪夢の映像化」として捉えたほうが楽しいんだろうなあ。というよりも、僕は『ビデオドローム』も『エルム街の悪夢-The Real Nightmare-』も『In the Mouth of Madness』も素直に観ちゃうバカなので、けっこう楽しかったかなあ。

だいたい、出演が決まってニッキーが喜んでいる後ろで、ヒツジのポーズがバカすぎる。実は映画なんか撮ってないんじゃないの? それ以前にニッキーの旦那って実在しているの? どう解釈しても構わないのであれば、もともとフリージャズ出身の僕はかなり有利な位置にいるというか、そんで面白かったのかなあ。滅茶苦茶なことを言っているなあ。

先日はクラシックのピアニストとビールを飲んでいて、さきさまはたとえばコードネームによるアドリブは苦手、こちとら縦に音符が4つも並んだらお手上げ(これはつまり僕のピアノが下手だという話であることは自覚している)という話になってですね。それでも頑張って、好きなドビュッシーの『子供の領分』から『小さな羊飼い』と『ゴリウォッグのケークウォーク』はさらったという話をしたら、「『ゴリウォッグ』って難しいじゃないですか」と言われたもんだから、正直に「弾きやすいようにアレンジして、本当にケークウォークで弾いています」と言ったまでは良かったのだが(いいのかそれで(笑))、「だいたい、譜面のどこを見ても"譜面通りに弾け"とは書いてありませんからね」とか言っちゃったら、「譜面から作曲者の意図を汲み出すのに日々我々がどれだけ苦労していることかを知りながら貴様は」って悔しがられちゃって(正確には「怒られた」のかも知らんが、ここは措く)。

特段にどちらが正しいという話でもなくて、演っちゃいけないことなんて世の中にはないんだよ。映画を観るのも一緒、俺の解釈が俺にとっては世界でいちばん正しい。あなたにとってはあなたの解釈が世界でいちばん正しいので、こんど対抗させてみましょうってなもんだ。



気づいた点というと、出演者の瞳が全員黒。アメリカなのに。シェイクスピアの翻訳にあるところの「かぐろき穴のような眼」、なんだろうなあ。髪の毛もダンス担当女子部以外は全員黒。そんであらかた白人(エンディングに黒人がぞろぞろ出てきたのは、組合対策ででもあるのだろうか。出てきて文句をつけるようなレイシストではない心算なのだが、バランスとしてはちょっと気になった)。あと裕木奈江、このへんでシーンの意味が皆目判らなくなるのが却って気持ちよかったかも。「誰だよそのオンナ」とか思いながら眺めていたら、あとでちゃんと出てきたし。


というわけでもうちょっと思い出しつつ考えるわけだが(たぶん当面は再観はしない)、
  • 脇腹の設定だったのがなんでいきなり正面から来るかなあ、
  • そういえば幽霊がいたような気もするが、どこまでが幽霊なのかなあ、
  • ハリウッドの映画作りであの体制は有り得ない、あるいはインディーズででもあったのか。いや、インディーズに抜擢されてあんなに喜ぶ筈がない(ヒツジまでも)、
  • 関係ないけど制作費20億円くらいだから、リンチとしてもインディーズっぽいのかなあ(日本で20億円なら超大作だが、いろいろシステムが違うらしいんですね。詳しくない)、
  • ガーデンプレイスの帰りがけに、改装中らしき店舗にバールが置いてあったのだが、ワザとだったのかなあ、
  • ローラ・ダーンのアップは、半分は使い回しが利いたなあ(口が半開きで股間にシワ)、
  • ウサギ舞台はシットコム仕様だったと思うのだが、テレビらしさ皆無だったなあ、
  • なんで原作がPhilip Kindred Dickじゃないんだ(←純然たるイチャモン)、
てな感じで、今夜ひとばん寝ながら考えることとしましょう。
終演後に、同道のお姉さんと焼鳥屋かなんかに入ってビールなど。
入口にセパレートの下足箱があるのだが、47番札がありませんでした(20番くらいで終わっていたのね)。残念なことです。
もうひとつだけ。

自宅のDVD再生装置がブチ壊れているものだから、リンチ予習ができなかったんですよね。とっとと治そう。



明日は、

お仕事。
夏休み? なんでみんなが遊んでいるときに一緒に遊ばにゃならんの。みんなが仕事してるときを狙って遊びますって。



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